大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和41(オ)641 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人成田篤郎、同葛西千代治の上告理由第一点1、2について。

原判決は、亡Dと上告人との間に行われた判示不動産の贈与は、遺留分権利者に

損害を加えることを知つてなされた旨の事実を確定し、民法一〇三〇条後段により、

右不動産の価額をもつて被相続人Dの相続開始の時において有する財産の価額に算

入したものであることは判文上明らかであるから、原判決に所論の法律の解釈適用

を誤つた違法がない。論旨は採用できない。

同第一点3について。

原判決は、被上告人ら訴訟代理人は、所論の準備書面に判示贈与減殺の意思表示

を記載し、上告人訴訟代理人は、昭和三五年九月九日頃右準備書面副本を受領した

旨の事実を確定している。所論は、準備書面は、口頭弁論における弁論を準備する

ためのものにすぎないから、口頭弁論期日において右準備書面が陳述されたときに

右意思表示がなされたものと解すべきであり、その副本が相手方代理人に受領され

たときに意思表示がなされたと解すべきではないという。一般に準備書面の訴訟上

における趣旨は、所論のとおりである。しかしながら、訴訟当事者がたまだ準備書

面を利用し、これに私法上の意思表示を記載し、その副本を相手方に交付すること

によつて意思表示を到達せしめることをば許されないと解すべき根拠がない。本件

において、原判決は、被上告人ら訴訟代理人は、右の趣旨で準備書面の副本を上告

人訴訟代理人をして受領せしめた旨の事実を確定したものと解すべきであるから、

右意思表示は、前同日被上告人らより上告人に対しなされたものである。そうする

と、原判決確定の事実関係の下においては、右意思表示は、民法一〇四二条所定の

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期間内に行われたことになるから、原判決に所論法律の解釈適用を誤つた違法がな

く、論旨は採用できない。

同第二点について。

本件不動産が上告人が亡Dから買受けたものではなく、右Dが上告人にこれを贈

与したものである旨の原判決引用の第一審判決の事実認定は、原判決挙示の証拠に

より肯定できるから、右判決に所論の審理不尽、理由不備の違法がない。論旨は採

用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の

とおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

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